NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン編プレイリスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL0B4zl1BdYzEIwuyi_3K3lYaoQm0ST5am
世界的成功者であるはずのCEOが、毎朝鏡に向かって「お前はダメなやつだ」と言う。自己否定でも病的な自虐でもなく、満身と戦うためのルーティンとしてそれをやっている。
今回のエピソードは、NVIDIAが半導体の王者になれた理由を、ジェンスン・フアンという人間の「仕事の哲学」から辿っていきます。
組織が巨大化するほど社風が劣化し、品質が落ち、社内政治が生まれる。彼はそれを何度も見てきた。だからこそ、大企業になってもスタートアップ並みの緊張感を維持しようとする。技術だけではなく、思想と組織設計が、その後のAIへの大勝負と繋がっていったという回です。
目次
00:00 前回までのあらすじ
00:37 ジェンスンと他のCEOとの違い
02:55 率直すぎるFB、ピラミッド組織を嫌うCEO
09:34 ミッションこそが究極のボス
11:50 GPUがAIの火付け役になった背景
15:38 AlexNetの登場、最高の広告
18:41 メラノックスの買収
20:50 AIファクトリー化へ、魔法はない
23:48 漆黒な労働環境
26:36 LUA(Listen,Understand,Answer)
28:01 ウィスキーのツマミ、トップ5メール
29:06 NVIDIA=ジェンスン・フアン
31:32 今回の学び
33:37 次回予告
エピソード概要
この回で描かれるのは、「技術で勝った」というより、ジェンスンが組織の勝ち方を設計し続けたという話です。
2010年頃のNVIDIAは、もはやスタートアップではない規模になっている一方で、ジェンスンは組織の成長を手放しで喜ばない。大企業化による社風の劣化、品質低下、社内政治の発生を強く恐れ、スタートアップ並みの緊張感を維持しようとする。
その延長線上で、「率直すぎるフィードバック」が文化として語られる。褒め言葉は過去の成功にあぐらをかかせる毒であり、絶好調のときほど厳しいフィードバックを飛ばす。毎朝鏡に向かって自分を罵倒するのも、その“満身を潰す装置”として登場する。
組織設計は極端にフラットで、ピラミッド構造を嫌う。情報が上がる過程で丸まり、政治が生まれることを避けるため、CEO直下の部下を60人規模にし、会議も寿司詰めで全員に同じ話を通す。問題が起きれば全社員にメールでフィードバックを求める。
口癖は「ミッションこそが究極のボス」。プロジェクトごとにPIC(指揮官)を一人置き、成功も失敗も説明責任も“最後にその人に聞けば全部わかる”状態にする。政治ではなく、情報の質と意思決定の筋で判断する。
ここからAIの話に繋がる。GPUの並列計算の可能性を理論面で掘るBill Dallyに注目し、長いラブコールの末に引き抜く。研究側の動きとして、CPU大量投入の計算がGPU少数で置き換えられるという流れが語られ、「GPUは燃やすエンジン」という表現も出てくる。
2012年のAlexNetは、市販のNVIDIA製GPU2枚でブレイクスルーが起きた「最高の広告」として描かれる。社内に懐疑があっても、ジェンスンは2013年に「ディープラーニングは絶対に大きくなる。全力で投資すべき」と断言し、AI向け最適化へベットしていく。
AIが巨大化すると次に詰まるのはネットワークだとして、2019年にメラノックスを買収。データセンター全体を1台のコンピューターとして最適化するという文脈で語られる。
現場のリアリティとして「1日25時間・週8日」という漆黒な労働環境も紹介される。その一方で、困れば早く声を上げれば誰かが助ける文化もある。意思決定を鋭くする言葉としてLUA(Listen, Understand, Answer)、情報を吸い上げる仕組みとしてトップ5メール(ウィスキーのつまみ)が出てくる。
最後に「NVIDIA=ジェンスン」という結び。30年以上トップに立ち続ける存在として、後継問題は避けられないが、文化が残れば次が現れてもおかしくない、という含みで締まる。
今回の学び
過去の栄光は防具ではなく「真薬」。絶好調のときほど満身を潰す
フラット設計と透明性で、政治ではなく“筋の良い意思決定”に寄せる
技術理解と事業理解を両方持つCEOだから、AIへのベットを断言できた
次回予告
次回は、AIのスケーリングがいつまで続くか分からない中で、NVIDIAが次の領域をどこに見据えているのかを、決算やインタビューも前提に考えつつ、シリーズの総括に入っていきます。
NVIDIAが次の10年に何に掛けようとしているのか。その内容を紐解きます。
NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン編プレイリスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL0B4zl1BdYzEIwuyi_3K3lYaoQm0ST5am











