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「廃業30日前」から世界標準へ。NVIDIAを強くした起点は何か|NVIDIA編 第3話
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「廃業30日前」から世界標準へ。NVIDIAを強くした起点は何か|NVIDIA編 第3話

NVIDIAが強くなった理由は、技術より先に“勝ち方の設計”を変えたことにある

NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン編プレイリスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL0B4zl1BdYzEIwuyi_3K3lYaoQm0ST5am

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今、世界でもっとも不足しているのは石油でもレアメタルでもなく、NVIDIAのGPUかもしれない。世界中のデータセンターがAIモデルを回すためにGPUを奪い合う時代。その「土台」が、どのようにして作られたのか。

今回のエピソードでは、RIVA 128で“ギリギリ生還”したNVIDIAが、ただのグラフィックスチップ企業から、世界の計算基盤を支える企業へと変わっていく起点を追います。鍵になるのは、技術そのものよりも先に設計された「危機感」「スピード」「文化」、そして市場の作り方でした。


目次

00:00 オープニング

00:12 前回までのあらすじ

01:23 我が社は廃業30日前だ

07:24 2季3チームという戦略

11:11 TSMCとの蜜月関係の始まり

14:40 アルバイトに救われるNVIDIA

16:53 おおまかな平等というビジネス哲学

17:51 Xboxと経営陣のある約束

21:07 GPUという市場をつくる

25:07 CUDAの開発

32:46 今回の学び

35:41 次回予告


エピソード概要

「我が社は常に廃業30日前だ」という前提

RIVA 128の成功で一息ついた後も、ジェンスン・フアンの頭から危機感が消えることはありませんでした。

「悪い出来事が3つ続けば、銀行残高は一気にゼロになる」。この前提を、彼は社員に何度も語り、オフィスの日常にも刻み込んでいきます。

定時で帰ろうとすると「今日は半休ですか?」と茶化される。夜遅くまでホワイトボードを囲んで議論が続き、寝袋を持ち込む社員もいる。誰かに強制されているというより、「この速度で走らなければ市場から落ちる」という感覚が、組織全体で共有されていました。

Intel襲来と「2季3チーム」という異常な戦略

そんな中、Intelがグラフィックスチップ市場に参入すると発表します。CPUの王者が本気で潰しに来る。

通常18か月かかる半導体開発では間に合わないと判断したジェンスンが打ち出したのが「2季3チーム制」でした。

  • 現世代を作るチーム

  • 次世代を作るチーム

  • 次の次の世代を作るチーム

この3チームを同時に走らせ、半年ごとに新しいチップを出す。春と秋の販売シーズンに必ず間に合わせることで、「NVIDIAを選べば毎シーズン新しいGPUが出る」という前提を市場に作り、他社への乗り換えコストを一気に引き上げていきます。

スピードの副作用を吸収する設計

開発スピードが上がるほど、ソフトウェア側との互換性が問題になります。そこで導入されたのが、世代をまたいで使える共通の“中間レイヤー”です。

細かい仕様を知らなくても、このレイヤーにアクセスすればどの世代のチップでも動く。スピードを出すために、スピードを吸収する構造を先に作る。この発想が、後のCUDAにもつながっていきます。

TSMCとの関係と、地獄の品質問題

供給能力を確保するため、ジェンスンはTSMCに目をつけます。最初は相手にされませんでしたが、1996年にTSMCのトップへ手紙を書き、将来の構想と必要な生産規模を直接伝えることで関係が動き始めます。

その結果、TSMCはNVIDIAのメインサプライヤーとなり、RIVA 128ZXはIntelのi740にわずか11日差でぶつけられるほどのスピードで市場に投入されます。

しかし、特急開発の代償として不良品が多発し、返品が山積みに。売れているのにキャッシュが入らない状況に追い込まれます。

GPUという市場、そしてCUDAへ

GeForce 256の発表にあたり、NVIDIAは「GPU(Graphics Processing Unit)」という言葉を前面に出します。技術的に厳密かどうかよりも、まず市場を定義する。CPUに近い言葉を使うことで価格帯の認識を変え、新しいカテゴリーを作りにいく判断でした。

さらに、研究者たちがGPUを計算用途に使い始めていることにいち早く気づき、裏技ではなく正攻法で使える環境としてCUDAを開発します。


今回の学び

  • スピードは根性論ではなく、組織設計と構造で作られる

  • 危機感は感情ではなく、言葉・制度・象徴行動で文化として維持できる

  • 強い企業はプロダクトではなく「土台」と「市場」を取りにいく


次回予告

次回は、NVIDIAという企業が、いかにして「ジェンスンという人格そのもの」を中心に回る組織になっていったのかを掘り下げます。

なぜ彼は毎朝鏡に向かって自分を罵倒するのか。フラットな組織設計はどう機能しているのか。NVIDIAの強さを、さらに人間臭いレイヤーから見ていきます。

NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン編プレイリスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL0B4zl1BdYzEIwuyi_3K3lYaoQm0ST5am

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