NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン編プレイリスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL0B4zl1BdYzEIwuyi_3K3lYaoQm0ST5am
NVIDIAとジェンスン・フアン編はいよいよ最終回です。
ここまで4話を通じて、ケンタッキー州でトイレ掃除をしていた少年が、AI Factoryのインフラ企業のCEOになるまでのストーリーを追ってきました。今回はその振り返りを踏まえつつ、この30年の本質は何だったのか、そして次の10年でNVIDIAはどこに本気でベットしていくのかを整理していきます。
決算で見える事業の重心、GTCなどでの発言、そして2時間のインタビュー動画から拾える示唆を手がかりに、次の10年の地図を引いていく回です。
目次
00:00 前回までのあらすじ
01:41 これまでの振り返り
04:31 NVIDIAが次に掛ける領域
08:54 2時間のインタビューから見えるもの
14:42 生成AIが登場した後の働き方
18:17 NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン
20:13 今回の学び(NVIDIA編 総括)
25:46 エンディング
エピソード概要
これまでの振り返り:狂気じみた30年の積み上げ
シリーズの前半で描かれたのは、ジェンスンの人格形成と、NVIDIAが何度も失敗しながら生き残った歴史でした。寄宿学校(共生施設)での経験で培われたストリートファイター精神、筋トレで解決していく話。
NV1の失敗は「ポジショニング戦略が理解できていなかった」ことに起因し、預金残高300万ドルの状況で100万ドルのエミュレーターを買い、冷蔵庫みたいな装置で1ピクセルを回し続けてRIVA 128に繋げた。
GPUという市場を作り、CUDAという開発プラットフォームを作り、意図的に「その上で動くのが前提」の時代を作っていった。結果として、半導体の王者と呼ばれる企業になった、という整理です。
NVIDIAが次に掛ける領域:決算から見える3つのレイヤー
ここからは書籍ではなく、Lawrenceが決算を見て整理した内容として語られます。NVIDIAがベットしているレイヤーは大きく3つに整理できる、という話です。
1つ目:AIデータセンター向けの中核レイヤー(売上の大半を占める)。AI向けGPU(ホッパー、ブラックウェル)、Grace系CPU、NVLinkやInfiniBandなど高速ネットワーク、サーバーなどを含む。
2つ目:AI向けソフトウェア/プラットフォーム層。NVIDIA AI Enterpriseなど、CUDAの上で動き続けるアップデート型のソフトウェアプロダクト。ハードだけではコピーされ追いつかれ得るが、ソフトと人材側でスイッチングコストを上げる設計になっている、という見立て。ここは「カミソリ本体は安いが替刃が高い」ようなイメージで説明されます。
3つ目:売上規模はまだ小さいが、次の10年を見据えると重要になり得る領域。Omniverse(デジタルツイン)、ロボティクス、自動運転、医療・創薬向け計算など、AI Factoryで学習したモデルを現実世界(工場、車、病院)側に持ち出していくレイヤー。現実世界の進み方次第では化ける領域として整理されます。
2時間のインタビューから見えるもの:エネルギー、AI、安全、仕事
インタビューの中で印象的だったポイントとして、ジェンスンは「エネルギーの成長がなければAI工場の成長もない」と語る。AI Factoryは電力をAIのトークン(知能)に変換する工場であり、国家はエネルギー政策とAIインフラを一体の問題として扱うべきだ、という認識が示されます。次のAI時代を語るなら、エネルギー、サプライチェーン、知性(計算)から目を逸らせない、という話です。
AIの安全については、AIは賢くなるほど安全になる、という立場を取る。賢くなるほど危険という単純な図式ではない、という前提を疑うメッセージとして捉えられます。モデルが推論や内省、リフレクションのステップを取り入れて、回答前の整合性チェックが高精度に行われるようになってきたことが、そのロジックの背景として語られます。
サイバーセキュリティは、攻撃側がAIを使うなら防御側もAIで強化され、いたちごっこ構造は変わらないだろう、という見立て。したがって防御側のGPU需要も続くだろう、というニュアンスです。
働き方については、AIが奪うのはジョブではなくタスクだと断言する。仕事をタスクの集合として分解し、繰り返し可能な部分をAIに渡し、残った時間や思考をどこに再投資するかを人間が決めることが重要になる。Lawrence自身の実感として、リサーチやプロダクトマネージャー業務がAI前提になり、作業単位ではAIが出したものをチェックして出すだけ、という場面も増えたという話も出てきます。一方で「自分の価値をどこで出すか」「AIが間違えないようにするにはどうするか」を考える時間が増えた、と語られます。
UBIについては距離を置く姿勢が紹介されます。お金を配るより、サービスを極端に安くすることが重要で、AIによって知能のコストが限りなくゼロに近づけば、医療・教育・法的助言がほぼ無料のように提供され得る、という主張です(楽観的に見える点についての言及も含まれます)。
NVIDIAの哲学とジェンスン:結局、彼を動かすのは「失敗の恐怖」
インタビューの中でも「我が社は倒産30日前」という話が繰り返し出てくる。マイクロソフト級に成功しても、なぜそんなにハングリーでいられるのかと問われ、ジェンスンは「会社が潰れるかもしれない不安とともに目が覚める。
自分を動かしているのは成功や欲望ではなく、失敗の恐怖だ」と語る。NV1、NV2の失敗、返品ラッシュなどを経験してきたからこそ、半導体業界は必死でやらないとすぐ到達される世界だ、という感覚が根にある、という整理です。
今回の学び(NVIDIA編 総括)
逆境を「必要な訓練」として自分で選びに行き、汚れ仕事から逃げずに信用を積み上げる姿勢が、V字回復の土台になった。
ポジショニング戦略を外すと、どんなに良い製品を作っても顧客の頭の中に並ばない。GPUというカテゴリー創造まで含めて、勝ち筋は設計できる。
口癖や厳しいメッセージは、甘えを許さないための道具として機能する。言ってくれる人がいないなら、自分で自分に言い聞かせないといけない。
AIの勝者で終わらず、データセンター(中核)とソフトウェア(ロックイン)を固めながら、現実世界(Omniverse、ロボティクス、自動運転、医療)へ賭けていく構図が見えてくる。
エンディング
NVIDIA編・全5話を通じて、テクノロジーで世界を変える人たちの人生と意思決定を追ってきました。面白かったと思っていただけたら、ぜひチャンネル登録よろしくお願いします。それでは、次回のシーズンでまたお会いしましょう。
NVIDIAの哲学とジェンスン・フアン編プレイリスト:https://www.youtube.com/playlist?list=PL0B4zl1BdYzEIwuyi_3K3lYaoQm0ST5am











