おはようございます、Lawrenceです。
今週もニュース解説です。Lawrenceが個人的に「面白い」と感じたテクノロジーやビジネス関連の話題を独自の視点で選び、そのポイントを解説するスタイルでお送りします。前回の記事は以下です。
今回は、大きく2つのニュースがあったので、ぼくの視点を含め深く掘り下げています。
細かいニュースは、数日以内に配信するポッドキャストで解説します。ぜひ、購読・チャンネル登録していただけると嬉しいです。
それでは、今週の主要なAIニュースを詳しく見ていきましょう。
AI News In This Week
GPT-5のリリース、オートルーター・ハルシネーションの激減
Palantirの2025年Q2好決算と株式ホールドの理由
1. GPT-5のリリース、オートルーター・ハルシネーションの激減
8月8日、全世界にGPT-5がOpenAIからリリースされました。
GPT-5は、これまでのすべてのモデルと比較して優れた性能を備えており、無料を含む全ユーザーが利用可能です。利用制限については以下のとおりです(2025/08/08時点)。

性能向上は言わずもがな、大きな変更点はひとつです。それは、チャットの内容に応じた「自動的な最適モデルを選択するルーター機能」です。
これまで、4oからo3 proまで様々なモデルが提供されてきましたが、これからはGPT-5にすべて統合(旧モデルはAPIのみ。Webインターフェイスからは廃止)され、内部のルーターが質問の難易度に応じて迅速回答か、熟考を選択し、回答を生成します。使ってみるとわかりますが、意外とUXの向上を感じることができます。
「深く考えて」のように指示するか、手動でGPT-5 Thinkingを選択すればReasoningが起動します。
o3が登場したあたりで、GPT-4.5というEQ(感情知能指数)の高い文章に長けたモデルがありました。これは、GPT-5にも踏襲され、感情的な創作表現や文章作成もより自然になったとのこと。
もう一つ、注目したいのはハルシネーションの減少です。
GPT-5は従来のモデルと比較して、幻覚(事実に基づかない情報を生成する現象)の発生率が著しく低いという特徴がある、と明確に説明されています。
GPT-5は従来モデルと比較してハルシネーション(事実誤認)の発生率が大幅に低減しています。Web検索機能を有効にした場合、GPT-4oと比べて約45%減少し、思考モード時には約80%減少しています。また、o3と比較しても約83%(6分の1相当)減少しており、より一貫して正確な長文コンテンツを生成できるようになっています。
🔵Lawrenceの視点
GPT-5は、いよいよ最も実用的な生成AIという風格を見せてきました。o3でもかなりハルシネーションは低い評価をしており、webブラウジングで必要なコンテキストを検索すればほぼ間違いはありませんでした。それを上回るハルシネーション防止効果はかなり期待できます。もちろん、完璧に頼ることは危険ですが、シチュエーション次第ではファクトチェックするほうが効率が悪いかも知れません。
無料ユーザーにも解放されているので、試してみるとよいです。以下おすすめプロンプトです。そのままコピペしてみてください。
トム&ジェリー風チェイスゲーム
Prompt: Create a single-page app in a single HTML file with the following requirements:
Name: Cat & Mouse Chase
Goal: Control a mouse character and escape from a chasing cat while collecting cheese to earn points and aim for a high score.
Features: Increasing speed, high score tracking, retry button, and funny sounds for actions and events (such as cheese collection, near-misses, and game over).
The UI should be colorful, with parallax scrolling backgrounds that evoke a lively house or garden setting.
The mouse and cat characters should look cartoonish and be fun like emoji to watch, with playful animations and expressive reactions. The mouse, following cursor, a little fast than cat .
The game should be enjoyable for everyone. If the cat catches the mouse, the game is over.
2. Palantirの2025年Q2好決算と株式ホールドの理由
Palantirという生成AI×コンサルティングの米国企業が急成長しています。
以前、ニュースレターでも紹介したころに少し購入していました。
株価は生成AIブームに乗り2024年7月あたりから、急激に右肩あがりとなっています。直近の決算が良かったので概要とこの企業の強みを分析して解説します。
直近決算概要(2025年4〜6月期)
売上:10.04億ドル(前年比+48%) ※四半期で初の10億ドル超え
米国売上:7.33億ドル(+68%)
米国商用:3.06億ドル(+93%)
米国政府:4.26億ドル(+53%)
利益:
営業利益:2.69億ドル(利益率27%)
純利益:3.27億ドル(利益率33%)
キャッシュ創出力:
営業CF:5.39億ドル
フリーCF:5.69億ドル(マージン57%)
契約状況:
契約総額(TCV):22.7億ドル(+140%)
大型案件増加(1,000万ドル超案件:42件)
見通し:
通期売上予想:41.42〜41.50億ドルに上方修正(前年比+45%前後)
米国商用は85%増見込み
決算の注目ポイント
米国商用の爆発的拡大(+93%)で成長の質が変わった
ガイダンスも強気で加速持続を示唆
利益・キャッシュ創出の同時改善で“攻めながら稼ぐ”体質に転換している
ビジネスモデル
Gothamは“超高セキュリティの現場オペレーションシステム”、Foundryは“企業の業務語彙で動くデータ/アプリ基盤”、AIPは“それらにLLMを安全に載せてエージェント化する層”。
Ontologyが三者を貫く“業務の言語化エンジン”で、AIを“自然言語で動かせる”状態にする層です。
以下、地理別収益と製品別収益セグメントです。
目標株価はというと、高くなっているのですでに成長が織り込まれた価格になってしまった可能性が高いです。
今から購入すべきかどうかおすすめすることはできませんが、今後の政府向けGotham、企業向けFoundry、生成AI基盤AIPの三本柱というビジネスモデルが米国以外でも成長できるかどうかが鍵となるかと。
🔵Lawrenceの視点
Palantirの強みは、政府や大企業の機密データを社内に留めたまま、生成AIを活用して業務効率化や設計まで踏み込む実装支援を行える点にあります。情報統制が厳しい環境でもLLM活用を求める大手企業は多く、この需要は今後も強いと見ています。
株価はすでに成長を織り込んでいる面がありますが、NVIDIAがさらに上昇を続けているように、成長銘柄は期待を超えて伸びる局面があります。生成AIの進化が本格的に業務へ浸透するのは2026年が最初のピークになると考えており、そのため私は依然としてホールドの判断です。
OpenAIやAnthropicが掘削用の“ツルハシ”(基盤モデル)を提供する一方、Palantirはそのツルハシを顧客の鉱山(業務現場)に持ち込み、使い方を教え、掘削計画を設計し、金(価値)を掘り当てるまで伴走します。単なる道具売りではなく、「成果を出すまでが商品」というビジネスモデルが、安定的な契約収入とベンダーロックインによる高い参入障壁を生みやすくしています。
さらに、受注(TCV)の増加や大型案件の積み上げ、米国商用の高成長、厚いキャッシュフローは、中期の再投資余力を確保する要因です。
こうした基盤のもと、AIPを中心とした実装力と収益性の改善が、当面の“勝ち筋”になると予想します。
今回は以上です。
では、また👋 ポッドキャストでお会いしましょう。
Lawrence