バイブコーディング(Vibe Coding)が、ある種のバズワードのようになりはじめています。
先日、Xでみかけた投稿では、Vibe Codingを「次世代のパワポ」と表現しており、いい得て妙だなと思いました。
このニュースレターを購読されている方は、Vibe Codingについては説明は不要と思います。詳しくは以下の記事で数ヶ月前にではありますが解説しました。よろしければご覧ください。
今回は、一歩進んだ内容として、Vibe Codingを使いこなしている人々はどのようなアプリを作って、どのような成果を上げているのか?という点を紹介します。
Vibe Codingのノウハウは色々出回っていますが、Howの部分(どうやればバイブコーディングできるか)ではなく、実際に成果を出している人々、特にもともとエンジニアではないバックグランドの事例を紹介することに意義があると思うのです。
紹介する内容
1. 育児休暇から月間経常収益4万ドルへ — Formula Bot
2. デザイナーの挑戦 — Replitで開発したStorypot
3. その他の身近な「あったらいいな」を形にした事例
AIにコーディングを任せる「Vibe Coding」という新しい開発スタイルによって、プログラミング経験がなくてもアイデアを形にできるようになっています。
ここでは、実際に成功を収めた人々の具体的なストーリーから、その成功の秘訣を探ります。
それでは、さっそくみていきましょう。
非技術者でもできるバイブコーディングのススメ
- バイブコーディングで成果を出している人はどうやっているのか?
1. 育児休暇から月間経常収益4万ドルへ — Formula Bot
Fomula Botは、Excelファイルをアップロードすると、AIと対話しながら分析、関数・SQL(データベースを操作する言語)の生成ができるSaaSです。
PDFやテキスト入力から、スプシに変換することにも対応しており、基本的な機能であれば無料で利用可能です。
開発したデビット・ブレスラー氏は、プログラマーではなく、マーケティング分析のバックグラウンドを持つ人物です。ノーコードプラットフォームのBubble.ioとOpenAIのAPIを使用しました。
Bubbleは厳密には「ノーコード」ツールですが、外部APIを連携させてロジックを組み立てるプロセスは、Vibe Codingにおける問題解決のアプローチと多くの共通点を持っています。
彼のアイデアは、極めて個人的な悩みから生まれました。それは、同僚からExcelの数式についてひっきりなしに質問されるという日常の煩わしさでした。彼は、平易なテキストをExcelの数式に変換するAIツールがあれば、この問題を解決できると考えたのです。
ブレスラー氏は、育児休暇中にYouTubeのチュートリアルでBubbleを学び、わずか数週間でMVP(Minimum Viable Product)を構築しました。最初の製品は、入力ボックス、ボタン、出力ボックスだけの、極めてシンプルな単一ページのアプリケーションでした 。これは、機能を最小限に絞った製品から始めることの有効性を示す好例です。
完成したアプリを巨大掲示板サイト「Reddit」に投稿したところ、なんと一晩で10万人が殺到したそうです。しかし、その人気がアダとなり、AIの利用料が75万円という想定外の請求になってしまった。。
急いで月額課金モデルを導入したところ、初日に82人が登録し、ビジネスとして軌道に乗せることに成功したとのことです。
2. デザイナーの挑戦 — Replitで開発したStorypot
Storypotは、絵文字を選ぶだけで、オーディオストーリーを創り出せるアプリです。子どもたちが利用することができる、ファンシーなデザインが特徴です。
Storypotで作成した物語は、Apple podcastで配信できます。
Storypotは、Spotifyなどでプロダクトデザインをしていたアクシャン・アイシュ氏が開発しました。コーダーではなく、デザインやストーリーテリングの専門家です。
このアイデアは、彼が持つデザインスキル(子ども向けのユーザー体験)とストーリーテリングスキルを融合させたものになっています。
Storypotは、Vibe CodingプラットフォームのReplitを使用して開発されたそうです。
おそらく、アイシュ氏は以下のようなプロンプトでReplitで開発をはじめたことでしょう。
「魔法のようなテーマのシンプルなウェブサイトを作成してください。ユーザーが3〜5個の絵文字を選べる『大釜』のようなインターフェースが必要です。『ストーリーを作成』をクリックしたら、これらの絵文字をAIに送り、5歳児向けの2分間のオーディオストーリーを生成してください。出力は音声ファイルであるべきです。」
そして、少しずつ修正を施していきます。
「背景はもっと神秘的な、濃い紫色にしてください。」「ストーリーが生成されている間、キラキラ光るアニメーションを追加してください。」「生成したストーリーをポッドキャストに投稿するための簡単なフォームを統合してください。」
収益化の道筋はまだ明確ではありません。
コンテンツとコミュニティを基盤としたモデルが考えられます。アプリのプレミアム機能(より多くの絵文字、長いストーリー、キャラクターボイス)、ポッドキャストのスポンサーシップ、広告なし聴取のためのサブスクリプションなどが可能性として挙げられます。
この事例は、直接的な収益化の前に、まずオーディエンスを構築するという重要な初期段階にあるプロジェクトとして価値があるとぼくは思います。
3. その他の身近な「あったらいいな」を形にした事例
ここでは、プログラミング経験のない人々が、自分や家族のために作った、身近なアプリの事例をご紹介します。
◆息子のために。愛情から生まれた血糖値管理アプリ
息子の糖尿病と向き合う中で、血糖値を管理するための炭水化物量の計算が大変だと感じていた。
Replitを使い、食品の炭水化物量を素早く計算するアプリ「CarbScan」を開発
まさにVibe Codingが家族の課題を解決した
◆今日の服装、もう迷わない。8万人が使うシンプルアプリ
「今日の天気だと、何枚くらい服を着ればいいんだろう?」、誰もが一度は思うこの疑問を解決するアプリ。
AIアプリ構築ツール「Lovable」を使い、「今日着るべき服の枚数」だけをシンプルに教えてくれるアプリを開発。
9ヶ月で8万5000人が使う人気アプリへと成長した。
◆冷蔵庫にあるもので献立提案
冷蔵庫の中身を写真に撮るだけで、AIが在庫を認識し、作れるレシピと買い物リストを提案してくれるアプリ。
Lovable、Supabase(データベース管理SaaS)、Cursorを使用。
献立を考える煩わしさ、食品ロスの削減などを目的にしています。
今回は以上です。
もしこの記事を読んでVibe Codingを試してみようと思った方は、以下の参考記事や動画をご覧いただく良いと思います。
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非技術系創業者のための効果的なプロンプト
低予算でローンチしたアプリを成長フライホイールに乗せる方法
Claude Codeの始め方
要望があれば、具体期な事例解説を行います。コメントください。
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では、また👋
Lawrence