おはようございます、Lawrenceです。
Lawrenceが個人的に「面白い」と感じたテクノロジーやビジネス関連の話題を独自の視点で選び、そのポイントを解説するスタイルでお送りしています。
前回の記事は以下です。
ポッドキャストでは、ニュースの背景の解説や、独自トピックを解説しています。最新エピソードはこちらから。
AI News In This Week
米国政府、インテルに89億ドルの出資で約10%の株式を取得
OpenAIがGoogle検索データを外部サービス経由で利用している事が判明
Nvidia、H20チップの生産停止を指示 — 中国政府から購入自粛の指令
OpenAI Podcast:チーフサイエンティストが語るAGIと現在
a16zジェネラルパートナーが語るAIの現状:グロース、断片化、次の波
1. 米国政府、インテルに89億ドルの出資で約10%の株式を取得
米国政府はインテル(Intel)に約89億ドルを出資し、約9.9%の株式を取得することで合意しました。4億3330万株を1株20.47ドルで取得(市場価格よりディスカウント)しました。
8月22日にインテルが公式発表しています。
資金はCHIPS法(国内半導体業界支援法)など半導体産業支援の補助金を活用し、取得株には議決権はなく、政府が取締役会に役員を出すこともありません。トランプ大統領は「米国とIntel双方にとって素晴らしい取引」と強調し、商務長官も「米国の半導体リーダーシップ強化」と表明しています。
※CHIPS法(国内半導体業界支援法)とは
世界的な半導体不足(2020~2022年)や米中技術摩擦を受け、米国の半導体製造能力の低下が懸念を背景に、米国内の半導体製造・研究開発を強化し、サプライチェーンの安定化と技術競争力の向上を図ること目的とした法律。
🔵 Lawrenceメモ
今回のIntel株取得は、米政府が半導体を「国家戦略物資」として重視し、国内産業や安全保障を守ることを最優先する政策への大きな転換点です。これによって、自由市場の原則との衝突や世界規模での産業の再編、他国の対抗措置など、今後の半導体業界や国際経済にさまざまな影響が出てくる可能性があると感じています。
2.OpenAIがGoogle検索データを外部サービス経由で利用している事が判明
OpenAIはGoogleの検索データをSerpApi経由で利用し、ChatGPTの応答生成に活用していることが『The Information』の報道で明らかになりました。
SerpApiは検索結果をスクレイピングしてAPI提供する企業で、過去にはApple、Meta、Perplexityも顧客として公表されていました。
Googleは自社検索を最重要資産と位置付け、SerpApiに対してクローリング対策を講じているものの、司法省との反トラスト訴訟を背景に法的対応には慎重な姿勢を取っています。一方、OpenAIはGoogle Cloudを利用するなど協調面もあり、「競合しつつ依存する」複雑な関係が浮き彫りになっています。
OpenAIは独自クローラーやBing APIなども活用していますが、関係者によると「Google検索の特殊なクエリ精度を代替するのは困難」と社内でも認識されているとのことです。
🔵 Lawrenceメモ
OpenAIが競合しながらもGoogle検索に依存している構図は、AIと検索産業の権力構造を示しています。今後は検索データ利用の透明性、著作権・利用規約との整合性など、プラットフォーム間の依存関係が大きな争点となりそうです。
3.Nvidia、H20チップの生産停止を指示 — 中国政府から購入自粛の指令
Nvidiaは、中国向けに特別設計されたAIチップ「H20」の生産を停止するよう主要サプライヤーに指示しました。これは中国政府が多数の企業に対し「このチップの購入を控えるよう」促したことを受けた対応です。
H20は、トランプ政権が輸出承認したAIチップで、売上の15%を米国政府へ支払うことを条件に中国市場向けに供給されていたものです。中国当局は安全保障上の懸念から、疑念を呈する企業を召喚し、購入見送りを要請しました。Nvidiaは「バックドアなどは存在しない」と否定していますが、市場環境が急変したためプロダクション調整に踏み切った形です。
🔵 Lawrenceメモ
NVIDIAのH20生産停止は、中国市場売上(全体の約2割)への打撃となり短期的に株価下押し要因になりそうです。一方で、AIサーバー需要は米国・欧州・中東で急拡大中で、NVIDIAは依然GPU市場で圧倒的シェアを維持しており、次世代Blackwell投入も控え、長期成長ストーリーは揺らいでいないです。注視すべきはBlackwellの輸出許可と中国半導体勢の追随かなと思います。
4.OpenAI Podcast:チーフサイエンティストが語るAGIと現在
OpenAIのチーフサイエンティスト、ヤコブ・パハツキーとシモン・セドルが出演したポッドキャスト。
注目すべき点は、数年前まで抽象的だったAGIの概念が、今では具体化しつつあると語られていることです。彼らは、「AIが科学や技術開発、特に医学分野において発見や生産の自動化を実現する可能性が目前に迫っている」と述べています。
最近のAIの進化はあまりにも速く、従来のベンチマークテストはすっかり「飽和」してしまっているようです。実際、AIが経済や社会に与えている影響は世間で思われている以上に大きいのですが、まだ十分に評価されていないとも語られており、これは共感できる内容でした。
また、「インナーモノローグ」と呼ばれるAIの推論による問題解決能力の進化も、開発現場ではかなり驚きをもって受け止められているようです。
🔵 Lawrenceメモ
AIの進歩があまりにも速いため、開発元であるOpenAIの幹部でさえ「果たして組織としてこのスピードに対応できているのか」と真剣に問い直すほどだという点は、意外な感想でした。また、AGIの定義についても、従来のような技術的なスコア指標ではなく、新技術の発見や生産の自動化といった「世界への実際のインパクト」で測るべきだというパラダイムシフトが、今後具体的に議論されるようになるかもしれないと感じました。
5.a16zジェネラルパートナーが語るAIの現状:グロース、断片化、次の波
a16z公式YouTubeで、現状のAI市場について、a16zのジェネラル・パートナーの二人(Martin Casado・Sarah Wang)が会話した動画があがっていました。現状のAI市場をよく言語化していると感じたので要約しておきます。
Martin と Sarah は誰?
この動画に登場するMartinは、Martin Casado 氏で、Andreessen Horowitz(a16z)のGeneral Partnerです。かつてソフトウェア定義ネットワーク(SDN)のパイオニアとして知られるNicira Networksの共同創業者およびCTOを務めた後、スタンフォード大学で博士号取得、2016年からa16zのGPとして活動しています。
一方のSarahは、Sarah Wang 氏で、同じくa16zのGrowth投資チームに所属するGeneral Partnerです。AIやエンタープライズ技術を中心に成長段階のスタートアップへ投資しており、Character.AIやHexなどの取締役も務めています。以前はTA Associatesなどでの投資経験があり、2022年からGPとなっています。
要点
フロンティアラボの収益拡大が過去のSaaSやクラウドを上回り、市場が予想以上に巨大化している
AIは単一市場ではなく、基盤モデルや拡散モデル、アプリ、ツールといったサブスペースに分かれ、それぞれに戦略が必要
特に基盤モデルの上に構築されるアプリは、複雑なワークフローや顧客データの統合を通じて価値を創出している
かつて「GPTラッパー」と揶揄されたアプリも、クラウドのソフトウェア同様に大きな付加価値を持ち得ると再評価されている
市場は細分化し、OpenAIが全てを独占するとの見方は誤りであることも明らか。つまりゼロサムではなく、多様な勝者が共存する市場だということ
AIネイティブ企業は従来SaaSを上回るスピードで成長し、ARR1億ドル達成までの期間も短縮している
一方でモデルは急速にコモディティ化するため、持続的優位を築くにはブランドやネットワーク効果、深い統合といった防御堀が不可欠だと指摘されている
顧客の購買行動は「実験」から「ROI重視」へと移行しており、Cursorが開発効率を30~50%向上させ、Decagonがサポートコストを80%削減した事例が紹介された
市場は実験段階から実用段階へシフトし、真に成果を出せる企業のみが残る局面にある
🔵 Lawrenceメモ
AI市場は「熱狂の実験期」から「ROIで評価される実用期」へ移行していると感じます。長期的勝者は技術力ではなく、ブランド、ネットワーク効果、顧客ロックインを築ける企業となりつつあるため、差別化はアプリ層や顧客統合というビジネスロジックの重要性を感じています。
今回は以上です。
では、また👋
Lawrence
私自身もAIを使った発信や地域の企画を進めていますが、実験で終わらせず価値に変えるステップを作ります。
競合しながら依存する関係も身近にあり、世界の動きと小さな活動がつながっているのを実感しました。